<ネタバレ> ゴジラ-1.0
2023年11月3日封切
「ガメラ大怪獣空中決戦」(以下平成ガメラ1)がそうであったように、「シン・ゴジラ」で怪獣映画は新たな山の頂きに立ったと思いました。 私にとっては「ゴジラの逆襲」「フランケンシュタイン対地底怪獣」「大怪獣総攻撃」や平成ガメラ1、2が正統怪獣映画の完成形なら「シン・ゴジラ」は《怪獣が出る災害映画》という新しいカテゴリーを打ち立てたエポックメイキングな作品だったのです。
どこが正統派と違うのか。。。? 正統派の怪獣映画たちは(もちろんそこに登場人物たちの生活があるものの)人間が怪獣を倒す!その1点にすべての流れが集中しています。しかしマイゴジの主人公はその内に屈託があります。ラスト近くで典子(演:浜辺美波)がこう問います。 「浩さんの戦争は終わりましたか?」 怪獣が出る以上、災害映画であろうが戦争映画であろうが、怪獣を倒すことに皆、全力を投じます。しかし、主人公敷島浩一(演:神木隆之介)は《特攻から逃げた》そして《大戸島で目の前のゴジラにビビったせいで多く それは一生はずすことを許されない辛い枷です。 敷島のその屈託がゴジラ撃退という縦糸に複雑に絡まる横糸となっています。もちろん戦後という時代背景もありますが、この横糸こそが、この作品に正統派怪獣映画とは少しばかり違うテイストを醸し出させている張本人なのです。 さてこの映画のもうひとつの楽しみに、ゴジラと戦う艦船の存在があります。 まずは機雷撤去のために用意された特設掃海艇「新生丸」。古い小さな木造船ながら、後部機銃を備えた元気いっぱいのこの船は秋津艇長の豪快なキャラクターとも相まってまるで独立愚連隊のようです。猛追するゴジラに果敢に機雷攻撃をしかけ、一 そして重巡高尾。凄まじい主砲の破壊力は、こちらもゴジラをKOし、一時的ながらもヤツを海に沈めます。 (史実と異なり)自沈を免れたもののふは、最後のいくさで壮絶なる討ち死にをします。 ゴジラ撃退作戦に勇躍出撃するは駆逐艦雪風と響の2隻。連合国によってすべての兵装を撤去され、丸腰で死地に向います。 元海軍技術仕官の野田(演:吉岡秀隆)が提起した決死の作戦を実施する為に出撃するのです。 陸上では打つ手も無くただ蹂躙されていた人類が、乾坤一擲の大海戦をゴジラに仕掛けます。 敷島が操縦する局地戦闘機震電とともに太平洋戦争時の実在の兵器たちがまるでスーパーメカのようにかっこいい。 そしてあれほど敷島を恨んでいた橘の男気に泣いてしまいます。 ラスト、奇跡の生還を果たした典子の身に何があったのか? 海底深く沈みながら、脅威の肉体再生を始めるゴジラとの因果関係が不吉な想像をかきたてます。 戦後の東京の街並みも素晴らしく再現されており、そうした部分を見るだけでも楽しい作品です。 そしてシン・仮面ライダーに続いてヒロインを演じた浜辺美波さんの可憐さに心地よく撃たれてみましょう。 |