ウルトラマンティガ15周年記念上映会

 

於:六本木ヒルズ TOHOシネマ 5番館 12:00より


かつて東京都内の主なデパートや遊園地などではウルトラマンやウルトラセブンのイベントがおこなわれたそうです。そこではナマのウルトラ警備隊員がサインをしてくれたりセブンと握手ができたりと、田舎育ちのぱごすけには羨ましいことこのうえない経験をすることができたのだそうです。

 なんでボクは徳島で生まれたんだぁ〜。

 金持ちではありませんが幸せに日々をおくらせていただいたことに感謝しながらも、この思いだけはいまだにぱごすけの心のうちにあります。

 憧れの俳優さんと直接お会いする機会などは東京や大阪にくらべて、四国では格段に少ない。いやほとんど皆無です。特に昭和中期のあの頃では、まずそうしたイベントの情報が入ってこない。(主催者側も四国くんだりから集客しようなんて思ってませんものね)それに交通機関が発達していないためホイホイ出かけられるわけもありません。まだ東海道新幹線が開通して間もない頃、徳島からだと新大阪駅へ行くだけでもひと苦労ですもの。そんな時代の東京なんてまるで遠い異国のようでした。

 あれから40数年。そんな遠い街での夢のようなイベントに参加できるチャンスがとうとう巡ってきたのです。フォローしている円谷プロからのツィッターで、愛してやまぬ『ウルトラマンティガ』の15周年記念上映会の情報をいただきました。ウルトラマンティガの放映からもう15年経ったのですね、ちょっと驚きです。永らく私の内に眠っていた特撮アニメファンのDNAを激しく揺り起こした作品。私にとっては記念碑的作品です。上映4作品のチョイスも涙モノながら、なんといってもイルマ隊長、ムナカタリーダー、シンジョウ隊員、それにキリエル人までがゲストで来られるとのこと。これはなんとしてもお会いしたいではないですか!開催日は2月11日(祝)。今のところ出張は…無い。東京へ行くなら飛行機か…そうだマイレージが貯まっている。

―――よっしゃ行けるゾ!

 チケットの売り出しと同時に予約を入れ、航空券の予約を取り、ぱごすけは近年稀に見る最強寒波で荒れる空を見上げながら、まるで遠足の日を指折り数えて待つ園児のように当日の天気良好を祈るのでありました。出張とまったく関係なく、イベントのためだけに東京まで出かけてゆくのは2007年のウルフェス(セブン40周年記念大会)以来実に4年半ぶりです。

あ〜足が地につかないぃ。

来た・・・ギロッポン ―――そして当日。

心配された大雪による影響など無く、事前に何度も何度もシミュレーションした通りの時刻に私は六本木ヒルズTOHOシネマズのロビーに立っていました。入場券をプリントアウトしたらまずは奥のショップでお買い物です。

事前に知らされていた物販のラインナップからポスターとポストカード、そしてウルトラセブンバージョンを大いに楽しんだ瓦せんべいを購入。(こうした品物は早めに買っとかないと落ち着かないんですよね)

早朝の徳島空港でおにぎりを1個食べたっきりでお腹が空いていましたがそんなことに構っていられません。いざ5番ホールへ!

『悪魔の預言』『悪魔の審判』『花』『霧が来る』この4本はイルマ隊長がセレクトなさったのだそうです。名作ぞろいの52本からよっつを選べ、というのもある意味酷なリクエストだとは思いますが、う〜ん流石の選抜です。

ティガシリーズはDVDでこの15年間に何十回と見続けています。セリフもおおかた覚えています。しかし見飽きるということのない作品群は毎回同じ感動を与えてくれます。もちろん今回も楽しみました。しかも銀幕の大画面で見ると新たな発見もあるのです。キリエル人のテロ行為から逃げる人々の背後にシドニーのオペラハウスのポスターが貼ってあったこととか…本筋とはあんまり関係ないですけど。

『悪魔の予言』とその続編『悪魔の審判』にはウルトラマンティガという作品の骨子となるべき重要な要素がたくさん詰まっています。これは上映会終了後のトークショーでゲストのおひとりキリエル人役の高野“バロム・1”浩幸さんがおっしゃっていましたが、1〜2話あたりではまだ敵なのか味方なのかが判然としなかったティガの存在が、キリエル人という暗黒の存在と対比することによって明確に人類の味方、光の超人として定義づけられたといっていいのですね。イルマ隊長の個人的な事情もいろいろと教えてくれた回でしたし。お姑さんの前でちょっと身を硬くする感じのイルマ隊長、お嫁さんでありお母さんなのですね。かつて愛した男性がいて、その人を喪って、心の片隅にいつもそうした痛みを隠し持つ女性。隊員服姿からは決して窺い知ることのできない彼女の一面でした。

『花』は異色作。『夢』という“姉妹作”もありますね。幻想的な実相寺ワールドに誘われます。戦う集団GUTSがヒマをもてあましているというあり得ないシチュエーションにおいて、ヒーローダイゴのアクビ、鬼軍曹ムナカタリーダーが詠む和歌、ムードメーカーホリイの暴走などなど、シリーズにおいて確立されたカッコ良さやお決まりの約束ごとを敢えてブチ壊す実相寺シェフ独特の手法による前衛料理をあますところなく楽しめる作品です。文字通り天から舞い散る桜の花びらやマノン星人三輪ひとみさんの美しさなど耽美な要素がちりばめられた画面において、やはり一番美しいイルマ隊長。お酒を飲みながら隊員たちと明るく笑う隊長は、幻想的な美の世界において唯一“正気の美”を象徴しているように思いました。

『霧が来る』素晴らしい作品です。電磁波の影響で外部と連絡が取れない…隔絶された山間の村で、ダイゴたちは異星人に操られた狂気の村人に襲撃されます。霧に紛れて飛来する『タマネギ状の』謎の物体。本格的ホラー映画だっっ!

ティガ全編に言えることですが、どれもわずか20数分のテ出た!マルヤスの瓦せんべい。美味しいよ。レビドラマの枠に収まりきらぬ映画のごときスケールの大きな作品ばかりです。(これについてもトークショーで村石監督や高野さんがおっしゃっていましたが、撮影に際しても投入された機材のボリュームがハンパなかったそうです。まるで映画の撮影現場のようだった、とのこと。)

そして後にホリイ夫人となるミチルちゃん。健気で可憐な少女は、こののち母としてウルトラマンダイナにまで登場する重要なキャラクターになりますね。

5分間の休憩をはさんで4つのエピソードが上映された後、本邦初公開のウルトラマンティガメイキング映像が上映5番ホールだ!ティガだ!されました。

なんて楽しい!

ウルトラマン80以来実に16年ぶりとなるTVシリーズ再開の記者会見の模様から始まって、GUTS司令室の製作風景が映されます。新番組に対するスタッフの静かな期待感がスクリーンからも伝わってきます。そしてガッツウィングのコクピットや特撮シーンの撮影風景、最終回アートデッセイ号甲板でのあまりにも印象的なひとコマの撮影。すべてがクランクアップしてキャスト、スタッフによる打ち上げが催されている時、てきぱきと片付けられてゆくスタッフルームの入口に既に貼られている次作『ウルトラマンダイナ』のステッカーなどなど…。

今日この会場に集った人たちの多くは、この15年の間ウルトラマンティガを何度も何度も見返したことでしょう。その裏側にあるスタッフの努力や、役から離れた役者さんたちの素顔を拝見できたのは大変嬉しいことでした。この短編映像だけでも今日ここに来た価値がありましたよ。

そしていよいよゲストのご登場!イルマ隊長役高樹澪さんに続いてムナカタリーダー大滝明利さん、シンジョウ隊員影丸茂樹さんがガッツハイパーを構えて登場。おおカッコイイぞ。しかも皆さん15年前と全然変わってないじゃないですか。続いてキリエル人役高野浩幸さんが、監督としておなじみの村石宏實さんと北浦嗣巳さんがご登場。皆さんテレビや書籍でしか拝見したことの無い方々です。テンションはレッドゾーンです。

ティガ撮影当時、ムナカタリーダーとシンジョウ隊員は1年400日(?)くらいお酒を飲んでいたのだそうです。イルマ隊長はお休みの前の日に限って飲みに誘ってくれるんだとか。(なんだか飲む話ばっかり?)ムナカタリーダーはミルク好きじゃなかったのですか?

レナ隊員は余ったお芝居のチケットを、その当日になって家の近くに呼び出したムナカタリーダーに売りつけたとか。ホリイ夫人早勢美里さんは(実際に)結婚するにあたって引越しの手伝いをムナカタリーダーとホリイ隊員に頼んでおきながら肝心の結婚式に招待しなかったとか。…(泣)イルマ隊長も含めてティガの女優陣は皆さん天真爛漫でいらっしゃるのですね。『裏ティガ』のお話はまだまだ無尽蔵のようです。いつか本にしてくれないでしょうかね。

最後にホールを後にするにあたり、私たち観客はゲストの方々と握手させていただきました。光栄の極みです。憧れの方々と至近距離に立てるのみならず、あ…握手まで。泣くゾ!

ひとり2〜3秒の短いふれあいです。何を言おう?楽しかったきょうのお礼?いや楽しかった15年前のお礼?いやいやずっと楽しみ続けてこられたこの15年間のお礼?(お礼ばっかりだな。でもそれがファンの本心かもしれません。)

ぱごすけ「エクシードラフトからのファンです。またウルトラに出て下さい!」

影丸さん「アリガトウゴザイマス!」強く握手!

ぱごすけ「ムナカタリーダーは私のお手本です」

大滝さん「はぃ、ありがとうございました」握手

ぱごすけ「徳島から来ました。今日は有難うございました」

高樹さん「徳島ですか!ありがとうございます」私の二の腕に手を添えて握手(なんて綺麗な方!感涙だ)

ぱごすけ「有難うございました!」

ティガ「・・・・・・・・・・・」無言で握手

ぱごすけ&高野さん「ありがとうございました!」同時にひとこえ、で握手(キリエルと握手した―――)

ぱごすけ「死ぬまでウルトラです!」

村石監督「お、ありがとう」握手

ぱごすけ「サーガは初日に見ます!」

北浦監督「はっ、有難うございます」握手

サーガ、3月にはいの一番に見ますよ。みなさん今日は本当に有難うございました。(サーガ、初日に見るって監督に約束しちゃったなぁ。ちゃんと見なきゃな)

この日は曇り空。寒い〜。秋葉原でお買い物しようかとも思いましたが、なんとなく今日はウルトラ一色にしようという気持ちになり、東京駅のウルトラマンショップでサーガの写真を撮ってそのまま羽田空港へ向かいました。

徳島の自宅に着いたのは夜の10時すぎ。お腹すいた〜。お風呂入りたい〜。けど何よりウルトラマンティガが無性に見たかったのです。私は手を洗うや上着を脱ぐ間ももどかしくウルトラマンティガのDVDを取り出しました。

ああ特撮の神様、この愚かなるウルトラ者に今日も幸せな1日をお恵み下さり有難うございました。

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