特撮・アニメ江戸紀行 2007夏

2007年9月1日(土)


2007年の夏もいよいよ終わろうかという9月最初の日、私は東京へ旅立ちました。もちろん朝起きていきなり決めたわけではなく、7月の終わりごろから考えていたことなのですが。

いざ「行こう」と決めると立ち寄りたい所は山ほどあります。かつての特撮作品に登場したロケ現場やらトイショップやら。あ、そうそう森次さんや菱見さんのお店にも行ってみたい。

ただ、諸事情があって結局日帰り旅行ということになってしまいましたので、私はその希望をかなり絞り込まねばなりませんでした。その結果が@男鹿和雄展 A甘味処竹むらさん Bウルトラマンフェスティバル の3箇所。

今しか行けない、今しか見られないところを優先して決めました。歩いて歩いて歩きどおした1日。その後まる2日間にわたって筋肉痛に悩まされるほど歩いた旅は…楽しゅうございました!

 

【ジブリの絵職人 男鹿和雄展】於:東京都現代美術館 <羽田空港→浜松町/大門→清澄白河・徒歩15分>

「となりのトトロ」をはじめとするスタジオジブリ作品において、その素晴しい背景画を描きつづけてきた男鹿和雄さんの展覧会です。

たまたま手にしたローソンのチケットガイドで知ったこの展覧会、当初より「行きてぇ!」とは思いながら「東京じゃ行けないなぁ」となかば諦めかけていたのです。でも東京行きが俄然現実味を帯びてきたとき、この展覧会へ行きたいという思いがふつふつと再燃いたしまして♪

男鹿さんの名は失礼ながらこの展覧会で初めて知ったのですが、とにかく宮崎監督の作品は背景が美しい!という認識を持っていた私は、細かいことはともかく、トトロの木を描いた人だという曖昧な知識だけで今回の江戸紀行の第一番目の訪問先に決定しました。

朝一番の飛行機が1時間近く遅れたため、10時の開館前に着く当初の予定が狂い、美術館に着いたときには開館30分過ぎとなっていました。この時点ですでに入館10分待ち。(実際には15分ほど待たされましたね)さすがにすごい人気です。

展示されているのは過去男鹿さんが描いてこられた映画の背景画。ものすごい数です。「侍ジャイアンツ」から始まって、最新作「時をかける少女」に至るまで、私は約3時間ちかくかけてみっちりたっぷり見させていただきました。朝飯も食べずに家を出た私が、空腹であることも足腰が悲鳴をあげていることも気づかぬまま、巨大な美術館の中を歩く、見る、歩く、見る、歩く、見る・・・。

どの絵がどうで、どこがすごくて・・・なんてとても語れません。ただ、千載一遇のこの機会を無駄にすまいと、絵の隅々まで穴があくほど見せていただきました。

ある絵には、広い田んぼに植えられている稲穂が1本1本すべてきちんと描かれています。その稲穂が風を受けて揺れているのがわかるのです。どっちからどんな感じの風が吹いているのかがわかるのです。その風の湿気のぐあいまでが伝わってきます。

またある絵には、森の奥へと続く1本の細い道が描かれています。周囲の木々が陽光を遮って奥の方は暗くてよく見えません。その道の向こうから誰かがやって来るんじゃないかという気がして、私は思わず目を凝らして見てしまいます。

ああ、こっちの絵に描かれた古い家の縁の下には何かころがっています。雑草が生えていて、空き瓶がころがっていて、その向こうに・・・。たぶん四角い空き缶だと思うのですが。で、その空き缶に何て書いてあったのか私は無意識に思い出そうとしているのです。

そんなこんなで、私は絵を見ているうちにとても奇妙な感覚に陥ってしまいました。この絵の中にこそ現実があるのではないか、という錯覚なのです。私たちは皆デジタルの虚の世界にいて、絵の中の温かみのある本当の世界を覗いているのではないか。「あっちへ行きたい」もしくは「戻りたい」と渇望しながらね。

あの“絵”に比べて、デジタルカメラが瞬時に切り取る実世界の何と味気ないことよ。光を紡ぎ、影を演出し、風を描く。男鹿和雄さんの描く世界にはそんな不思議な魔力が秘められていました。

ショップでは絵葉書を買いました。分厚い図録にも食指が動いたのですが、結局好きな絵の絵葉書を何枚か買うにとどまりました。展示されている本物を見せていただいた直後では、印刷された作品集を見ても心が動かなかったのです。さつきとメイのあまりにも有名なあの家、その家を覆い隠す不思議で巨大なくすのき。ぽんぽこ狸たちが夜密かに宴会を繰り広げるゴルフ場とその向こうに広がる都会の夜景など、私が特に心動かされた絵のポストカードです。(できればあと、雫が天沢くんに導かれて入った地球屋脇の階段から見下ろしたウッドデッキと、その向こうに広がる町の絵があれば最高だったのですがね)

さてさて、この3時間ちかく、私は呼吸をしていたのでしょうか?会場を出た時、自然とふう〜と大きな息をつきました。大変な作業をひとつ終えた時のような充実感と疲労感。あれだけの作品に正面から向かい合うと、私のような絵の素人でも、とてつもなく体力を消費するものなのだと思い知らされました。

帰り際振り返った時、入場を待つファンの列は最後尾が見えませんでした。表示された待ち時間は50分となっていました。

 

【甘味処 竹むら】神田須田町 <菊川→小川町・徒歩5分>

東京都現代美術館からまっすぐ菊川駅へ向かい、地下鉄で小川町へ。向こうに秋葉原をのぞむビル街の間に、江戸情緒漂う木造のお店が今も残っています。午前中で疲労困憊の私があえぐようにたどりついたのは、そんな懐かしい佇まいの甘いもの屋さん。

まぁ、このHPに来られる方々なら今さら説明の必要もないでしょうが、2005年栄光の仮面ライダーシリーズの異色作「仮面ライダー響鬼」のメイン舞台となった葛飾区柴又の「甘味処たちばな」こそ、実は神田須田町にある「甘味処竹むら」さんなのです。私にとっては格別愛着ある「響鬼」で、毎週見ていたあのお店に是非立ち寄りたいとは前々から強く思っていました。このたび東京へ行くにあたって、ここだけは候補地から一度もはずされてはおりませんでした。

特撮ファンのみならず、お味のほうも定評があるとみえて店内は賑わっていました。入店して左側には劇中でもあったようなお座敷が。私は右側に並ぶ木製のふたりがけのテーブルに案内されました。午前中飲まず喰わずで歩き回って疲れた体が「甘いもの」を求めています。私の右隣の先客はお汁粉を、後から来た左側のお客さんは白玉あんみつを食べておられます。私は昼食も兼ねて揚げまんじゅうをいただきました。平皿の上に敷かれた和紙にのっかった揚げたてのおまんじゅうがふたつ、お茶と一緒に出されました。熱いので割り箸でいただきます。和紙にほんの少し油がついていますが、ギトギトした脂っこさがまったくなく、むしろサクサクして餡の甘さをひきたててくれます。よくRPGで、旅の途中で食事をすると体力やヒットポイントが復活しますよね。あれ、実感しました。空腹で文句を言っていたおなかも落ち着き、疲れた体に活力が注ぎ込まれたような気がしました。うん、これで午後もいけるぞって感じでしたね。

店内はほぼ劇中で見たまんまで、嬉しくなってしまいました。明日夢くんがおっこちた隠し扉のある階段はありませんでしたが、お店の中央奥にある暖簾の向こうからは、今にもひょっこり香須実さんや日菜佳ちゃんが顔を出しそうな気がしました。

小さなお子さんを連れたご家族連れ、少し年配のご婦人同士、ご夫婦連れ、若い恋人、さまざまなお客さんが心地よい甘味に舌鼓をうっています。しかし私たちの足元の地中深くでは、今もみどりさんが秘密兵器を開発しているに違いありません。そしてあの暖簾の奥では、立花のおやっさんが魔化魍の弱点をさぐるべく、大量の古文書の山に囲まれているのでしょう。

お店には、数分とおかず次のお客さんが訪れていました。揚げまんじゅうをおいしくいただいた私も、感慨にふけってぐずぐずしているわけにもゆかず、名残を惜しみながら席を立ちました。私がお店を出るのと入れ違いに新しいお客さんが来店し私のいた席に座られました。できればここで火打石のひとつも叩いてみたいところですがそうもゆかず、外からお店の写真を撮らせてもらってその場をあとにしました。

 

【ウルトラマンフェスティバル2007】於:池袋サンシャインシティ <淡路町→池袋・徒歩10分>

さて竹むらを出て、人間で渋滞する池袋にやってきた私は一目散にサンシャインシティへ向かいました。揚げまんじゅう2個のエネルギーで、なんとしても午後のメインであるウルフェスを制覇しなければならないのです。

おお、盛況です!入り口には今夏の目玉商品であるキングジョーブラックの限定フィギュアが既に売切れであることを伝えるビラがあちこちに貼られています。ライブショーもほとんど満席。OK!これでこそウルトラだぞ。もっともっと混みなさい。ウルトラマン万々歳だっ!!

今大会はウルトラセブン誕生40周年の記念大会。会場内はウルトラセブン一色です。だからこそぱごすけも田舎からやって来たというものです。

入り口にはユートムが侵入者を攻撃しようと待ち構えています。やられてたまるかぃ!攻撃のかわりにデジカメでパチリ!

その奥には、憧れのウルトラ警備隊作戦本部が。ダン隊員が実際に使用したヘルメットだ。キリヤマ隊長のもある!スゲェ!作戦テーブルの上には無線マイクやら電話やら、劇中で見たのとおんなじだよ。それらを手に取っていたのはお子様たちよりもお父様方でしたね。わかるよ、そのキモチ。

さらにキリヤマ隊長の隊服やアンヌ隊員の隊服、ホーク1号やセブンのマスクなど、実際に撮影で使用した“実物”が展示されていました。そして、なんと金城さん直筆の原稿やノートまでが!いや本当に今日までよく保管されていましたね。これこそ宝ですよ。

セブンのとなりでピースしているのはお父さん。お子さんがシャッター押してましたよ。(^v^¥)

展示コーナーの後半、向こうに見えるショップめがけて走り出すお子さんを大声で呼び止めるお父さん。

「ひとりで先に行っちゃダメだよ。ほらウルトラホーク1号があるよ」

「僕もういい」

「よくないでしょ!」

なんだかんだ言ってお父さんの方がもっと見ていたいのです。お父さん、わかるよ、そのキモチ。

さてさてショップも大混雑。

指人形コーナーではお子さんが選んだウルトラ指人形をお母さんが小さなカゴに入れてゆきます。一方お父さんは、自分が欲しい指人形を手に持ったカゴにポイポイ入れてゆきます。お子さんより数が多いぞ。ええい、うるさい!普段は買えない、いやゆっくり立ち止まって眺めることさえはばかられるオモチャを今なら買える!今なら(子供のせいにして)買えるのだぁ!オオ!わかるよ、そのキモチィ!(ぱごすけは普段から平気で買っていますから落ち着いたものですがね)

40年たってもセブンは色あせていません。さらに進化し、新作を産み出してさえいます。いずれメビウスの40周年記念の時は、今日出会ったお子さんたちがお父さんになってやって来るに違いありません。いや、今日のお父さんがおじいさんになって親子3代でやって来るはずです。ウルトラとはそういう作品群なのです。みんな、その時また会おう。ぱごすけは(生きてりゃ)じいさんになってもひとりで来ていると思うけどね。

ありがとう特撮の神様。ありがとう円谷プロダクション。死ぬまでウルトラ!

   

入口のセブンフェイス      危ない!ユートムだ               作戦司令室

 

   

栄光の地球防衛軍マーク    ダンが使ったヘルメット 裏面にはダンとアンヌのサインが    キリヤマ隊長のメット

 

      

キリヤマ隊長の隊服と銃  こちらはアンヌの隊服とメット      ウルトラファイトのセブン    撮影用セブンパーツ

 

   

撮影用ホーク1号           撮影用飛行セブン             最終決戦ジオラマ

 

   

お宝・金城ノート                  お宝・金城さんの生原稿        勢揃いしたウルトラマンたち

 

   

80は横顔がイイ!      実物大アイスラッガー!    券売窓口ではキングジョーブラック完売!のお知らせが