ウルトラマン・アート!時代と創造 ウルトラマン&ウルトラセブン」

於:高松市美術館

2012年9月15日(土)〜10月28日(日)


2010年北海道の旭川美術館で開催されたウルトラマン・アート!は日本列島を感動と驚きの前線とともに縦断してゆきました。

真空管を擁した大きく重い白黒テレビのブラウン管を通して目撃したあのヒーロー、あのメカニック、あの怪獣に、会いにゆきたい。それらは皆、40数年の時間を一気に遡ることができる魔法のアイテムなのです。

ウルトラ者が“入れ食い”となるであろうこの図柄を見よ!岩手から鹿児島へ。茨城から長崎へ・・・何度も何度も四国のアタマの上を跳び越されながら、それでもぱごすけはじっと待っていました。

―――せめて関西へでも来てくれれば・・・。

しかし特撮の神様は高松に舞い降りてくれました。

四国にキター!

しかも開幕初日には桜井“アキコ”浩子さんのトークショー&サイン会が催されるとのこと。コンマ1秒も迷いませんでしたゾ。ぱごすけ高松行く!!!

土日に限り1,000円という特別割引価格の高速バスに乗って徳島から高松へ。前夜は地獄のような落雷攻撃(ホントなんです。バリバリドンドンと凄かった)を受けた徳島でしたが、この日はまことにウルトラ晴れ。高松駅から高高松市美術館の表玄関に書かれた告知の文字です。松市美術館へ歩くだけでもじっとり汗ばむような残暑でした。

初日開場10:30。

同世代の大西高松市長(桜井さんの横で嬉しそうだぁ)、大岡円谷プロ社長、フジアキコ隊員、M1号の西村社長と、市長以外は当代特撮シーンを支える方々が一同に揃ってオープニングセレモニーが賑々しく催されました。既に大勢のギャラリーやプレスの方々で美術館のホールは熱気ムンムンです。(司会の方が桜井さんを『ウルトラ警備隊フジ隊員の・・・』とご紹介されていたのがご愛嬌)

もっと地味にチケットを買って入場するものと思っていたぱごすけはちょっと面食らいました。

ウルトラマンとウルトラセブンのオープニングテーマが演奏され、華やかにテープがカットされて、来賓・ギャラリーともにうち揃っての入場です。なんとこの行列にくっついていけば入場無料なのだそうです。おおウルトラ気前がいいじゃねぇですか。

ということで、恐縮しつつぱごすけも会場に足を踏み入れました。

「写真を撮っていいのは最初のコーナーだけ」という注意を何度も聞かされながら(ぱごすけ、けっして怪しいものではござらぬが・・・)限られた被写体をデジカメで撮りまくりました。(やっぱりこの場合、最優先は小さいお友達ですね♪かわいいウルトラ者が大勢いて、ぱごすけは嬉しかったです)

ちゃぶ台を前にあぐらを組むメトロン星人。

ウルトラマン、ウルトラセブンの両雄。

ヒーロー、怪獣とともにシリーズの魅力をガッチリと支えたウルトラメカ。

そして星の数ほどいるウルトラモンスター群から絶対的代表選手のバルタン星人と、理由はわからないけれどビラセブン独特のファイティングポーズ。決まってます!星人とマグラーという玄人好みのラインナップ!(予想外でしたが、でもこれはイイぞ)

特にぱごすけが見たかったのは『うしろ』。

ウルトラマンやセブンの気ぐるみのジッパー部分。

ビラ星人の背中。

マグラーの背びれ。

ホーク1号や3号のアフターバーナー噴射口。

いろんな写真や本編の映像ではあまり見られない部分を徹底的に見たかったのです。(同じことを考える方は少なくなかったみたいで、いろんなアングルからカメラを構えておられるウルトラ者、いましたね)

次のコーナーからは貴重な貴重な資料のオンパレード。

円谷英二さん、高山良策さん、成田亨さん、金城哲夫さん、池谷仙克さんといった“神々”の奇跡の軌跡を思う存分見せていただきました。なかでも成田亨さんが描かれたケムール人の原画は素晴らしかったですし、撮影当時のオリジナルの品々は、たとえ劣化して色あせていてもぱごすけの心のフィルターを通して見れば変わらぬ輝きと躍動感を伝えてきます。

戦後日本復興のシンボルであった東京オリンピックが開催されたあの国立競技場を破壊したバニラとアボラスの頭部。ともに口の造形が特徴的です。

タイマンならウルトラマンよりも間違いなく強かったゴモラ。無理やり日本へ空輸され、不完全な麻酔のせいで覚醒してしまい高空から落とされ、自慢の尻尾をマルス133で焼き切られ、ウルトラマンに角をへし折られ・・・その強さゆえの不遇を呪うかのような頭部も見ました。目を光らせるためでしょうか、内部には青と赤の電線が見られました。

そのほか、ウルトラ警備隊の開発した特殊噴霧装置で真っ赤に染められたクール星人の円盤、ウルトラマンの飛び人形の背にわずかに残されたテグス、科学特捜隊基地やウルトラ警備隊の双子山山麓基地の巨大なレプリカ模型、トークショーで桜井“アキコ”浩子さんが、青春の思い出として最も印象深いとおっしゃった科特隊の隊服、生涯忘れられないであろうアンヌとダンの悲しい別れのシーンを書いた金城さんの直筆脚本などなどなど・・・。スタッフ、キャストの皆さんが取り組んだ名作創造への長い道のりと、映像作品の中で描かれた数々の死闘、虚と実ふたつの世界における戦いの思い出を、自らの半生と重ね合わせながら感慨深く拝見しました。

 主翼に残されたテグスの切れ端が本物の証です!      

〜有難うございました〜

10時30分すぎに入場して約90分。気づけばもうお昼をまわっています。

ホールへ降りてみると13時からの桜井“アキコ”浩子さんトークショー&サイン会にもう人が並んでいます。案内には先着100名と書いてありましたからね。そりゃこの展覧会に来る方は誰だってご本人に会いたいですもの。昼メシ食ってる場合じゃありません。ぱごすけも最後尾にくっつきました。

それはめちゃめちゃ明るくて楽しいトークでした。

当時の撮影秘話や著書「ヒロコ」執筆にいたるいきさつ、特撮仲間との楽しいエピソードなど、ぱごすけと同世代のオールドファンも子供のように無邪気に笑えるひとときでした。

女優のお仕事のほかに、いまや円谷プロダクションのコーディネーターとしての役割も担っておられる桜井さん。こうしてイベントとともに全国をまわっておられるのも大切な業務なのでしょうね。

多次元宇宙を自在に飛び回って平和を守るセブンの息子ゼロも、これから産まれくるであろう次世代のウルトラ者たちがいずれ熱狂するまだ見ぬウルトラヒーローも、桜井さんたちのこうした地道な活動とアツい思いの中から創り出されてくるのでしょう。

お話の内容とはまったく違いますが、そんな手ごたえを感じられるようなひとときでした。

ま、ご本人が聞いたらきっとこうおっしゃるでしょう。

「アナタ大袈裟ねえ、バカじゃないの?アハハハ」

最後のサイン会では明らかに100人以上の方が列を作っておられましたが、桜井さんは終始変わらぬ笑顔でひとりひとり言葉を交わし、サインし、立ち上がって一緒に写真におさまってくださいました。

ボクたちおっさんにとってのやさしいお姉さん。やっぱりあなたは科特隊のフジ隊員ですね?

―――フジ隊員の言うことを聞きなさい。

エビせんべいにしてやる!―――了解。死ぬまでウルトラで地底怪獣め、ナパーム手榴弾を食らえ!フフフ待っていたよウルトラ者。まあ座りたまえ。す。