映画 大決戦!超ウルトラ8兄弟

20089月13日全国公開


【大集結!?】

 M78星雲からやって来た兄弟たち。太古から地球に存在した光りの守護神たち。ウルトラマンには大きく分類してふたつのカテゴリーがあります。(劇場作品の番宣でバラエティ番組などに出演した時なんか、無知な司会者がティガは何人目の兄弟?とか聞くのはちぃと腹立ちますね。ゲストに呼んだんなら基本線くらい勉強せい) その壁をブチ破って、同じ画面に勢ぞろいした第一期ウルトラマンたちと平成ウルトラマンたち。

 一瞬たりとも油断ができぬほど多彩なゲストも含めて、可能な限りのキャラクターが大集結した、まさにウルトラの「勢揃い!清水の次郎長」的作品ですな。

ただし、観終わった感想としては、「嗚呼ウルトラマンを観たなぁ!」という印象が薄い作品でもありました。前作「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」などに比べ、どのウルトラマンがどんな感じで、どう闘って、良かった、或いはもうひとつだった、というような印象があまり無い。

「特撮」という点においては、迫力満点だったのはキングゲスラの登場シーンくらいでしょうか。この点においては、概して前作や過去の作品に軍配があがるように思います。この作品を鑑賞した後、ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティスなどを観なおしましたが、CGの部分も含めて特撮場面(≒ウルトラマンと怪獣の決闘場面)は本当に素晴しいなと思いました。今回、八木監督はかなりCGに軸足を置かれたようで、物凄い空中戦シーンを堪能させてくださいましたが、相手のラスボス怪獣が規格はずれのデカさ(最近、この傾向が多いですよね)であることもあってか、ウルトラマンの巨大感というか存在感自体がちょっと希薄であったように感じております。

 

【油断もすきも無い、多彩なゲストたち】

 駄菓子屋のおっさん(二瓶“イデ”正也さん)、横浜市観光課の課長(大滝“ムナカタ”明利さん)、ベーカリーの看板娘(星 光子さんの愛娘 紫子さん)、アキさんが庇ったおじさん(西條“一平”康彦さん)、SF作家の万城目さん(そのまんま佐原“万城目”健二さん)、ウルトラマンを応援するやじうまたち(亀山“ゴンドウ”忍さん、小野寺“ナカジマ”丈さん、加瀬“カリヤ”尊朗さん)、キドドクター(これまたそのまんまの風見“キド”しんごさん)、横浜市長(あ、こりゃマジ本物だ)、ラジオ局のチーフ(影丸“シンジョウ”茂樹さん)、始球式のおねえさん(伴“エス”杏里さん)、ベイスターズの監督は木之元“ヒビキ”亮さん、国連総長に川地“サワイ”民夫さん。それに、フラダンスを踊るビューティー4(言わずもがな。。。)を楽しそうに見ているダイゴたちの背後にはちゃっかり満田監督が(なんで!?)。 坂田自動車の事務所には若くして亡くなられた、偉大なる岸田“坂田”森さんもカメオ出演なさっているではありませんか。本当にうっかりしていると思わぬVIPを見逃してしまいそう。

  ダンディー4の奥様方の扱いも、アキさんは大怪我して入院してしまうし(今度は助かるんだよね \^0^\)夕子さんは元看護士ってことで、キド先生のお手伝いしてましたね。(北斗さんも本来のパン職人さんに戻って楽しそう〜)こっちが忘れかけていたオリジナルの設定がガンガンよみがえってきます。

 

【この気持は・・・?】

  1966年7月17日のあの日、ぱごすけもダイゴたち劇中のガキンチョ3人組みと同じように、午後7時を待ち焦がれていました。 劇中と違うのは、我が家のテレビは白黒だったこと。。。あの時代、日立(!)のカラーテレビとは豪勢な!

それはさておき、あの時代あの年頃のボウズなら、どう考えても現在40代後半か50代のはず。ま、それほどこだわるトコロではないのかもしれません。事実、第二ウルトラ世代の八木監督も、そこのところはスルーしています。しかし、第一世代のぱごすけには結構大事なポイントだったのです。ゆえに、観終わった時になんだか得体のしれないむなしさが心の底に残りました。それはろうそくが燃えた後にほんのちょこっと残ってしまったススのようなもの。

オープニングで「おお、俺の世代だ!」という印象でスタートした物語は、ガキンチョの成長とともに第二、第三世代へと主人公の年代がスライドしています。どう見ても30代半ばと思しきダイゴ、アスカ、我夢。夢を取り戻し、人生をやり直すという結末にのめり込んで「よしっ!なら俺も・・・」と意気込んで、はたと気づくのです。「俺、もう50歳じゃん。。。」

もちろん基本的に年齢は関係ありません。ぱごすけだって自分のやりたいこと、趣味などの分野で今も楽しくやっています。しかし四半世紀以上も続けてきた今の職業を捨てて子供のころの夢に再挑戦できる年齢ではありません。(ぱごすけの夢はスーパーロボットになることでした。。。無理やん!(ノε`) どっちかと言えばダンディ4の皆さんに近い年齢ですからして、たとえうちの嫁さんがレナのように美しく(?)聡明で(??)やさしい(???)女性であったとしても、なかなかあんなふうに笑って許しちゃくれないでしょうねぇ。(ローンも残ってるし・・・トホホ)思わずリアルな話をしてしまった。。。

 

【これはもはやファンタジー映画だ!しかし何故?】

ウルトラマンが夢の競演を果たし、最強最大の怪獣を撃滅する。それはそれで大団円なのですが、この映画の趣旨は違うところにあるような気がします。大切なことは「夢をあきらめないこと」。すべての子供たちに、そして実生活の中で胸の中のカラータイマーが消えかかっている大人たちに、人生普遍のメッセージを届けること。これは、そのための壮大なファンタジー映画だったのです。

時空を越えてダイゴの前に現われた赤い靴の不思議な女の子。ミライから託された7人の勇者の探索・・・そうです。ある意味、怪獣なんてどうでもよかった。その証拠に、横浜を黒雲に包み込み、ダイゴたちに悪夢をもたらした謎の敵の正体は、とうとう明らかにされないままでした。人生に困難はつきものなのです。あの不気味なフードの男は、我々の人生に横たわる数々の困難を象徴した姿だったのでしょう。

 最後にはなんと我夢たちアルケミースターズ(?)によって改造された日本丸が宇宙船となって、宇宙へと飛び立ちます。目的地はナントM78星雲「ひかりの国」!!!!!!!!!!!

ウルトラマンは地球へやって来るもの。M78星雲から地球へ。今まではその一方通行であったものを、ついに人間がひかりの国へと旅立つのです。

 

宇宙船日本丸のコクピットにはダイゴとレナ、アスカとリョウ、我夢と敦子たちが。地球生まれの光の申し子たちが、ひかりの国へと表敬訪問するのです。日本丸の周囲にはハヤタとアキコがジェットビートルで、ダンとアンヌがホーク1号で、郷とアキがアロー1号で、そしてそして北斗と夕子はタックスペースで、微笑みながら飛んでいる。まるでウルトラワールドの中に広がった御伽噺のようではありませんか!映画と同じアングルで撮影しました。

1966年、弾丸道路のトンネル工事現場にゴメスが現われてから42年。脈々と受け継がれてきたウルトラが華々しいフィナーレを迎えました。そんな映画でしたね。映画公開前、黒部さんが「もう私がウルトラマンになることはない」とおっしゃったことが脳裏に甦りました。

「ダメだ、こんな映画を作っては!」そんな気持ちが胸をよぎりました。もしも黒部さんが本気ならば、これは最高の花道ではないですか。安心して引退できてしまうではないですか。イヤだ!こんなに何もかもめでたく終わりすぎないでくれぇ!とまあ、思わず焦ってしまうほどの美しいエンディングでした。この作品をもって八木監督も円谷プロを去るとのこと。(宇宙船Vol.121特集記事より)いろいろな意味でケジメをつけるための記念碑的作品であったことは間違いないようです。

こうなれば次なる劇場版は『ウルトラセブン21&マウンテンガリバー5号』だっっっ!?

全世界のウルトラ者に幸あれ!

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