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【懐アニ・懐特】

私が子供の頃、アニメーションは“テレビまんが”と呼ばれていました。日本初の連続テレビまんが「鉄腕アトム」も「鉄人28号」も「狼少年ケン」も「エイトマン」も「風のフジ丸」「0戦はやと」「ビッグX」・・・・みんな私の体の一部のようでした。アトムのように空を飛びたかった。ジェット噴射が出せないものかと足の裏を何度も見ました。エイトマンのように走りたかった。腕と上半身を動かさず、足だけを動かして走ってみました。(いつもより走りにくくて遅かった)そして鉄人。幼稚園へ行って、買ってもらった自由帳に来る日も来る日も鉄人の絵を描きました。大きくて強い鉄人28号に対するあこがれと畏れ。夜の街中を鉄人に追いかけられる夢を何度も見ました。オープニングのような、鉄人の上半身の影が、角のむこうからやってくるのです。恐くて恐くて逃げました。鉄人の姿は一度も見ていませんが、鉄人の影がずっとおいかけて来ました。最近になって実写版の鉄人28号が上映されましたね。ストーリーはイマイチでしたが、もどかしい動きがかえってリアリティを感じさせてくれ、鉄人28号の重量感みたいなものは伝わってきました。ビルの谷間で対峙する鉄人とオックスを上空から俯瞰したところなんか、ちょっとしたカタルシスでしたね。

特撮では、何と言っても「少年ジェット」と「忍者部隊月光」。月光たちが敵のアジトなどに潜入した時、掌をもう一方の拳でポンとたたいてサッと進む方向の指示を部下に与えたり、開いた両手をサッと広げて「散れ!」の合図を出したりするアクションがカッコよくって、よく友達と真似をしました。

昔のアニメや特撮番組って、話のつじつまはシッチャカメッチャカでしたが、とにかくカッコ好かった。飛び交う弾丸も、敵のは当たらず、主人公のはやたらよく当たる。小さな銃だけど、10発でも20発でも撃てちゃう。そして悪党はこれでもかというほどの悪党で、「盗人にも三分の理」など微塵も認めない徹底ぶり。見ている方はな〜んにも考えずに、ただヒーローの活躍に手を叩いて大喜び。  ・・・そんな能天気な番組が多かったですね。主題歌だって、番組名連呼型のアップテンポで勇ましいマーチ風のが多かったですよ。アトムしかりエイトマンしかり狼少年ケン(ちょっと前に缶コーヒーのCMソングに採用されていましたね)しかりレインボー戦隊ロビンしかり。今でもたまにマーチングバンドが演奏しているのを耳にするときがあります。どれも皆、名曲ぞろいでした。

海外からのアニメも結構楽しかったですよ。年代順などはよくわかりませんが直立の白馬「早撃ちマック」帽子とネクタイをつけたおしゃれな「クマゴロー」スーパーマンのねずみ版「マイティマウス」にオ〜リ〜ンピ〜ア〜の「マイティハーキュリー」そしてラ〜リホ〜愛川欽也さんも声の出演をした「スーパースリー」少ししてから笑顔がカワイイ「キングコング」所帯持ちの怪獣使い「怪獣王ターガン」ハイハイサァのパパラポァ「大魔王シャザーン」などなどなど・・・。こりゃキリがありませんわ。

中でも「マイティハーキュリー」って不思議なアニメでしたね。なんだかセントール(半人半獣)の坊やが助けを呼ぶと天空から舞い下りてきて怪物と戦うのです。まるでウルトラマンです。しかも指輪を装着して天にかざすとイナヅマと共にパワーアップして怪物をやっつけます。ウルトラブレスレットみたい・・・。そういえば同じマイティでもマイティマウスも天空にいるのですよね。ワル猫に襲われたカワイコちゃんねずみがピンチになると、三日月の上で昼寝をしていたりする(!)マイティマウスが悲鳴を聞きつけ、オペラ風に「♪今いくぞ〜」って歌うや、ものスゴイ胸筋をアピールしながら爆音とともに急降下して、一撃でワル猫をのしてしまいます。彼のイイところは、その後しっかりカワイコちゃんにチュウされて喜んでいたりするところ。憎めませんなぁ。

海外の特撮はな〜んと言ってもジェリー・アンダーソン御大の「サンダーバード」でしょ。(その前に「スーパーカー」っていう、オープニングで雲をつきぬけて垂直上昇してゆくすごい人形劇があったような・・・だいぶ記憶に靄がかかっています)

サンダーバードはとにかく“一生モノ”ですよ。私、40代後半になってもサンダーバードの秘密基地のプラモ買いましたもの。(新しい映画版のトレーシーアイランドも持ってるよ〜ん)何がカッコイイって、とにかく例のBGMに乗って延々と続く発進スタンバイシーン。居間のソファごとメカの中へ誘導され、メカ自身もゆっくりゆ〜っくりと発進カタパルトまで移動してゆく。どんだけ長いねん!と思いきや、これが飽きないのですよ。後のウルトラ警備隊のホーク発進シーンなんか絶対コレの影響うけてるでしょ?(近年で言えばアニメ「ゾイド」の「巨竜大海戦」でウルトラザウルス内部のエレベーターにブレードライガーやライトニングサイクスを乗せて上部甲板へ上昇してゆくシーン。)

タラコ唇のトレーシー兄弟や、煙にまかれて無表情にへなへなへなと倒れてゆく被災者たち人形はともかく、メカのデザインと発想、そしてそれらの操演は奇跡と言ってよいでしょう。これに比べると後続のキャプテンスカーレットやジョー90はちょっと地味だったかな。

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