映画 ウルトラマンティガTHE FINAL ODYSSEY
2000年3月11日全国公開
【願いは聞き届けられた!】 平成ウルトラシリーズの先陣をきって登場したティガの完成度の高さに陶然としていた我々ウルトラ者は、続くダイナ、ガイアと夢のような3年間を送っていました。その間、当代ウルトラマンと過去の平成ウルトラマンとの客演による2本の映画が上映され、ノストラダムスの大予言やらコンピュータの2000年問題やらで不吉な世紀末において、ぱごすけはわが世の春を謳歌していたのです。 そして20世紀最後の年。平成ウルトラマンのホームグラウンド、4Ch土6では、熱い魂を持つ巨大な戦闘機械獣ゾイドが惑星Ziの荒野を駆け巡っていました。 ふと、思いました。 ―――そういえばティガが主役の映画って無かったよな…。
そんなある日、突如ティガの映画化がテレビで報じられました。それは予告編と言うよりほんの速報でしたが、ティガ単体での映画化を強く強く望んでいたぱごすけにとってはまさに福音。「おおっ特撮の神よ感謝しますっっ!」
【重苦しい情念の戦い・・・これは心して見なければならない映画だ】 ダイゴとレナが2年間の婚前旅行(!!!)に出かけている間に事件は起こりました。クトゥルー、いやガタノゾーアが眠る南太平洋の孤島ルルイエで、愚かなる人間は闇の巨人像を覚醒させてしまいます。そしてラブクラフトの世界そのままの、重苦しくも怪しい三千万年に渡る情念の戦いの火蓋が切って落とされました。それは、映画公開前にぱごすけが期待していた、あの勇ましくも清清しいティガの世界とは大きくかけ離れたSF伝奇ホラーだったのです! そもそもティガは闇の巨人たちを統括するほどの恐るべき魔人であった。という衝撃の設定に、ぱごすけは驚きと戸惑いを禁じえませんでした。その闇の巨人をユザレが改心させた。さすがは地球星警備団の団長です。ウルトラマンを説得してしまうなんて!そしてそのユザレの遺伝子を今に伝える人物が他ならぬイルマ隊長だったとは!(は〜い、質問。だったらティガ1話であのカプセルからユザレのホログラフが出た時、ダイゴと同じようにイルマ隊長もその全貌を掴んでいたのではないのでしょうか?けど、ティガ全話を通じてイルマはティガの遺跡や石像について、知っているふうではありませんでしたが・・・)まぁダイゴの正体を見抜くのも無理ありませんね。 この映画、ティガからダイナへのミッシングリンクとしての役割を担っていますが、次々と語られる事実がどれもこれも衝撃的なものばかり。オドロキの連打でぱごすけは序盤からフラフラです。 しかし、さすがは「ウルトラマンティガ」。戸惑いながらも、何かしら不思議な魅力を感じさせるのです。ダイナやガイアの劇場版のようなスカっと爽快な面白さは無いものの、さらに増幅し拡大してゆくティガワールドのすべてを知りたいという思いをぱごすけは抑えることができませんでした。 「そっちがその気ならこちらも受けて立とうじゃないですか。この映画、心して見届けてやりましょう」
【モノスゲー怖ぇえ!女の戦い!!】 これは女性の映画です。よろしいですか?このストーリーにおける重要な登場人物は、レナ、イルマ、ユザレそしてカミー その中でも何といっても、婚約者の『三千万年前の元カノ』と命がけの争奪戦を繰り広げることになるレナ。ひとりガッツウィングで出撃していったダイゴを追って走る走る走る。そしてダイブハンガーでの大見得の場面。 「ダイゴオオオオオオオオオオオオオ!」 いよっ。千両役者! 崩れ落ちるルルイエの遺跡をひとりダイゴ求めてさまよい飛ぶレナ。ホリイ隊員の「あかん!レナ死ぬ気や!」の悲痛な叫びが今も耳に残っています。テレビシリーズ全編を通じてレナとダイゴは、互いの愛情を少しずつ着実に育ててきました。その一部始終を我々は目撃し、応援してきたのです。それがあったればこそ、アートデッセイ号の手前で遺跡の中へときびすを返したレナの心中は察してあまりありました。 かたや不良時代の元カノ、カミーラ。ラストで「私も光が欲しかった」と告白しましたが、彼女は最初に登場した時からずっと“泣いて”いましたね。笑っているときも、皮肉を言っているときも、怒っているときも、彼女はずっと“泣いて”いました。可哀想なカミーラ。ずっと積み重ねてきた悪行ゆえに、ティガのように素直に光を求められなかったのでしょうね。先に光をつかんだ愛しい彼に、置いてけぼりをくらったような気持ちになってしまったのでしょうね。最初はすこしすねて、ティガと同じ道へ踏み出せなかったのでしょうね。そして三千万年も・・・。目覚めてみれば、ティガには人間の彼女がいて・・・。眠っていたカミーラにとっては昔も今も何も変わっていなかったのでしょうに。ティガ(つまりティガダーク)は既に“人間”マドカ・ダイゴになってしまっていたのです。もはや戦う以外彼女にどんな手立てがあったでしょう?戦いこそが、愛しいティガと交わるただひとつの手段ではないですか!そしてカミーラは“泣きながら”最後の死闘を繰り広げます。まるでダーク・シュナイダーに挑むアーシェス・ネイのように。 そんなカミーラを演じたのはみっちょん。最近ではご主人の金山一彦さんとよくバラエティ番組に出演していて明るい若奥様ぶりを披露していますが、この作品ではクールな悲劇のヒロインを好演してくれました。レナVSカミーラの『よしもと対決』。見ごたえありました。 さらに女性の出演者として書き添えておきたいのは、カミーラのスーツアクターを務めた梛野素子さん。ゼイラム2でイリヤのスタントをしていた時も「カッコイイ人だなぁ」と思っていました。セブンの「地球星人の大地」でメトロン星人の人間体を演じてくれた時は嬉しかったなぁ。とにかく遠目のスタントやら着ぐるみの中だけでいてもらうには惜しい女優さんだと思っていたので、あの時は生身の演技を堪能させてもらいました。劇場版ティガでも、女の子連れのお母さんを演じていたのは梛野さんでしたよね。ほんの少しの出番でしたが、かつての悪行に苦しむティガの葛藤をあらわすとても重要な一場面でした。
ルルイエの遺跡を目前にして、アートデッセイ号はシビトゾイガーの大群に往く手を阻まれます。「ダメだっ!」(ぱごすけ叫ぶ)メインエンジンが停止し、イルマ隊長救出作戦も失敗に終わるかと思われたその時、まだ結成前のスーパーGUTS隊員たちがウイングゼロで助太刀にはせ参じます。(科学者として既に活躍していたナカジマ隊員はともかく、この時マイはまだ高校生・・・。こいつ、スゴいな) 「サポート、感謝します」 もともとこのセリフは、ダイナTVシリーズ第36話「滅びの微笑」で、西アジア支部から援軍としてガッツウイングEX−Jで飛来したムナカタリーダーに対してスーパーGUTSのヒビキ隊長が言ったもの。この映画では現役のムナカタリーダーが就任前のヒビキ教官に対して言いますね。時間を前後して同じ人物同士の間で交互に語られる同じ言葉。とても面白い遊び心だと思いませんか?もしもヒビキ隊長がこのときのことを覚えていて、大阪での対ネオジオモス戦でムナカタリーダーに同じ言葉を返したのだとしたら・・・うう、なんだか粋でカッコイイなあ。
【ウルトラマンティガよ、今一度!】 ウルトラマンティガは、その作品世界が完全に完結しています。つまり、ウルトラセブンのように続編を作る余地がまったく無いのです。 何よりティガは人間“マドカ・ダイゴ”です。彼は愛妻レナとともに恐らく木星開発に一生を捧げるのでしょう。もう我々の前にその雄姿を現すことはありますまい。GUTSはスーパーGUTSへと発展的解消を遂げていますしね。 そのためか、この映画でも、その後のオリジナルビデオ作品でも、ダイナやガイアとは違って素直にTVシリーズの流れで新作を見せてはくれませんでした。一連のTVシリーズの間に存在するようなエピソードを追加製作してくれても良さそうなものですが、何かしらひとひねりした作品ばかりで、とうとう私の願いは叶えられませんでした。製作者サイドに、何か特別な思い入れでもあるのでしょうか?ティガ=名作というプレッシャーが製作者に重くのしかかっているのでしょうか?GUTSはじめ主要メンバーは役柄を変えて何度も出演していますから、続編への出演拒否ということはないのでしょうけれど・・・。 やはりV6長野博さんのスケジュールの都合がつかないというのが原因なのでしょうかねぇ。 そういえばダイナの大阪ロケを記念して毎日放送がメイキングの特別番組を放映したのですが、その中で旧GUTS隊員としてゲスト出演したホリイ隊員役増田由紀夫さんが『GUTSの隊服を久しぶりに着たけど、着れなかったねぇ』と言っていました。体型がすっかり変わってしまった(太ってしまった)という意味なのでしょうが、まさかこれが原因ではないですわなぁ。 劇場版の公開から既に7年。出演者の皆さんも年齢を重ねられたでしょうが、今ならまだ撮れます。完全新作オリジナルを!時々テレビで拝見する皆さんの若々しさはあの頃とそう変わってはいませんもの。 しかし・・・しかし・・・無理なのでしょうねぇ(はぁ >_<;)。それに、せっかく120%完全燃焼しつくして完結した珠玉のシリーズを、もう一度いじくりまわすのもどうかという気もしますし。ああ、複雑です。
ダイゴとレナの濃厚なキスシーンという、これまた従来のヒーローものにはあり得なかった衝撃のシーンで幕を閉じた名作ティガ。これ以上の広がりはもはや蛇足にすぎないのかもしれませんね。 ふたりが木星へ飛びたたんとするラストシーンは、いよいよスーパーGUTS結成と大宇宙フロンティア時代の幕開けを私たちに予感させてくれます。ダイナのダイナミックな世界がこれから始まるのです。 『がんばれよ、後輩』 『本当の戦いはこれからだぜ』 名作の劇場版はまた名作!ウルトラシリーズの枠を越えたこの作品を皆見るべし!死ぬまでウルトラ!! |