Vシネマ 仮面ライダーWダブル RETURNS

仮面ライダーアクセル

2011年4月21日発売 (レンタル開始4月8日)


平成仮面ライダーシリーズのすべての劇場版、OVAの中でも群を抜く素晴らしい作品がVシネマから誕生しました。

しかもそれは、テレビシリーズにおいて脇役ライダーであった『アクセル』が主人公として活躍するものだったのです。(それほどライダーは層が厚いということなのですね。)

【名作の証しその1】脚本が面白い!

風都を荒らすスリ集団をめぐって警察とナゾの戦闘員たちが三つ巴の追撃戦を繰り広げます。しかも戦闘員たちはナゾのコマンダードーパントによって操られているのです。そいつのオレに質問するな!正体は一体誰だ!?

風都を護る“伝説”の仮面ライダーアクセル照井竜は、刃さん襲撃の濡れ衣を着せられながら、ヒロインの女スリを護って戦闘員やドーパントと激しいバトルを展開します。

刑事同士の反目や、スリの元締めたちが巣食うアジトでのやりとりなど、お話の本流は骨太の刑事ドラマです。そこにハードに絡む冷徹な大野刑事。そしてコメディタッチで絡む亜樹子所長。照井竜と女スリ葵、そして“正妻”亜樹子の三角関係も、なにげに重要なテーマとしてしっかり描かれています。ストーリーのあらゆる場面の下に敷きつめられているのは“愛”という大テーマです。一見おちゃらけた亜樹子所長ではありますが、その小さな体に照井竜への純粋な愛をみなぎらせた彼女にとって、周囲でまきおこる爆炎など眼中にありません。自らの危険よりも照井竜の気持ちが他の女性に奪われることのほうが恐ろしいのです。精神が肉体を超えた!と言っても過言ではない。素晴らしいストーリーでした。家庭の事情を背負って戦う仮面ライダーって、いましたか!?

70分の全編に詰め込めるだけの仕掛けを詰め込んだストーリーは(月並みですが)まことに見ごたえ充分です。

どんな作品にも言えることですが、脚本が面白くなければどんなに愛するキャラクターが登場しても気持ちの昂ぶりは感じられません。『仮面ライダーアクセル』は、初代ライダーに驚愕し、クウガで刮目し、響鬼で胸打たれたぱごすけの心をこのうえなく昂ぶらせました。テレビシリーズ以外でこれほど気に入った作品は、劇場版アギト『ProjectG4』以来、実に10年ぶりですよ。(それもそのはず、ライターはティガ以降の平成ウルトラシリーズを支えた長谷川圭一さんですからね)

【名作の証しその2】アクションが凄い!

照井竜が強い!ツヨイ!!主人公だから当たり前って?いやいや、変身前のノンストップアクションはカンフー映画にも引けを取りません。改造人間以外でこれほど強い変身前の主人公は珍しいのではないでしょうか?監督がスタント出身の坂本浩一さんであることも無関係ではないでしょうが、何より“仮面ライダー”が本来は生身のバトルアクションヒーローであるということを思い出させてくれます。

照井竜を演じる木ノ本 嶺浩さんのアクションも素晴らしくキレています。周りを固めるスタントの役者さんたちに比べてもまったく遜色ありません。たとえアクションが得意であろうと、空手の有段者であろうと、日々の鍛錬なくしてあのアクションシーンは決して生まれることはすべてを振り切るゼ!無かったはずです。

加えてライダー戦のワイヤーアクション。役者とスタッフが心ひとつにして繰り出す懇親のパワーアクションは、見ていて感動さえします。きしむ筋肉、飛び散る汗。それらが渾然一体となってアクセルブースターの美しいフライングバトルシーンが完成したのでしょう。

1コマ1コマに命を懸けたスタッフ、キャストたちの“本気”が画面から伝わるようではありませんか!

【名作の証しその3】特撮がハンパない!

仮面ライダーはウルトラシリーズやスーパー戦隊と並ぶ、日本が世界に誇る特撮作品の金看板です。特撮のレベルが最高位なのは当然と言えば当然です。しかし、飛来するミサイル、吹き上がる爆炎、そして変身し、さらにアップグレードしてゆくライダーとドーパント。CGにせよクレーンアクションにせよ、どれもものすごい迫力です。作品の根底に流れる熱い思いはそのままに、この技能だけは40年間で格段の進歩です。ファンのひとりとして作り手の皆さんに拍手です。感謝です。

【名作の証しその4】キャラクターがイカス!

主人公照井竜がイカスんです。熱血刑事にしてイケメン。(いや本当に彼はカッコイイ)かつては家族を怪人に殺害され(父よ、母よ、妹よ!)復讐のために仮面ライダーになった彼は、鳴海探偵事務所の面々と出会って少しずつ変わってゆきました。かつての風見志郎を彷彿させます。そして今や恩讐を越えて風都のために戦う正統派ヒーローとなったのです。劇中で仮面ライダーという名称を使うことも含めて、ここまで正統派のライダーを、ぱごすけは久々に見たように思います。そして、大歓迎です。

仮面ライダーアクセルもまたイカス!赤く輝くメタリックボディ、青く発光するマスク。重量感たっぷりのエンジンブレード。ベルトのアクセルグリップを回転させて必殺技を繰り出すメカニカルライダー、アクセル。ぱごすけは、特に青いトライアルが好きですねぇ。古くはバイオライダー、平成版ではG3と、ぱごすけは何故だか青い仮面ライダーが気に入ってしまうようです。実際アクセル・トライアルは、ジェット型ヘルメットを思わせるちょっと昭和チックなフォルムで、さらに剣や銃ではなく、高速でキックを繰り出すといういかにも仮面ライダーらしい戦い方をしてみせてくれます。

DVDのメイキングでも木ノ本さんご自身が語っているように、アクセルは最早2号ライダーではありません。立派な一枚看板です。その一枚看板が具現化したかのようなアクセルブースター!ライダー史上初、輝く黄色のライダーです。

背のインテークファンが唸りをあげるや、体の各所からの高圧噴射が彼を自在に3D移動させます。

スカイライダーのように“飛ぶ”というよりは“浮上”し“滑空”するイメージ。唯一無二の高機動型メカニカルライダーです。かっけー!

ぱごすけにとって『仮面ライダーW』は平成ライダー作品の中でもかなり上位にランクされる秀作でした。敵組織ミュージアムの真の目的がいまひとつ掴めませんでしたが、風都という地域限定ながら、はっきりとした正義の味方でしたし、エンディングもメデタシメデタシのハッピーなものでした。平成ライダーには、世のため人のために無条件で戦う・・・っていう昭和ライダー型の作品が案外少ないですからね。そういうのって、クウガとか、響鬼とか、くらいだったかな?

次作『仮面ライダーオーズ』は現在絶好調。メダルの行方を追ってアンクたちと一喜一憂しているぱごすけに、この『W』のスピンオフOVAは 〜鳴海探偵事務所のドアをもう一度開けてみろよ〜 と語りかけてくれたように思いました。

スーパーヒーロータイムは毎週かかさず録りだめてあります。この作品との出会いを機に、もう一度あの風の街に出かけてみましょう。

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