特捜エクシードラフト

1992年(平成4年)2月2日 〜 1993年(平成5年) 1月24日  毎週日曜日8:00−8:30 テレビ朝日系で放映  全49話


シリーズ完結。魂の兄弟登場!

すべてをリセットして再スタートした(はじめはそう思っていたのですよね〜。 ¥^v^;)レスキューポリスは新たなヒーローを迎えることになります。レッダー、叶隼人。いかにも「救急警察」らしく、特捜部出身の村岡“ブルース”耕作と、消防隊出身の大熊“キース”拳のふたりを助さん格さん的にしたがえたインターポール出身の隊長です。

男三人組でむさくるしいかと思いきや、拳と耕作の助格コンビが結構明るくて面白いのが良かったです。

拳がもらったラブレターを隼人と耕作が冷やかしながらまわし読みし、それを傍らで愛が笑ってみている。なんだか青春ドラマの教室のようでした。いつも見て見ぬフリをしてくれる桂木本部長ののほほんとしたキャラクター(ヤルときゃヤル切れ者!演じるは、かつて弓ヶ谷の小学校でガラダマをゲットした生徒の引率先生だった福田豊土さん)も幸いしているのでしょうね。正木本部長の前であの騒ぎはチョット・・・。そうした若々しさというか、香川や西尾たちにはない人間臭さみたいなものがエクシードラフト(以下EXD)のメンバーには満ち満ちていました。

そして紅一点の日向愛が名前の通り愛くるしい(!) 時にはコンソールパネルの前でしおらしく涙を流し、時には(ナント)コンバットベストを着用して戦闘もこなすという(ホントにNASA出身か?)メリハリの効いたキャラクターです。演じる中村由利さんはEXDがデビュー作なのでしょうか。演技が初々しくってカワイイのです。(聞くところによると日体大ご出身とのこと。もっともっとアクションシーンを見せて欲しかったですよ)

SRBで巨大組織に膨れ上がったレスキューポリスは、WSP的な少数精鋭部隊に再び落ち着きます。基地は晴海の客船ターミナルによく似た(?)おしゃれでオープンな感じでしたが、どうやらEXDの専用基地というわけでもないようす。さすがに3作目ともなると1、2作目の試行錯誤の成果が表れてくるものだと感心しました。装備も「身の丈」にあったもの。出す以上、不必要なアイテムにはしないという姿勢のあらわれだったのではないでしょうか。

一番感心したのはトライジャケットを手動で着用すること。「着化」「ブラスアップ」といった“蒸着式”粒子レベルの瞬間着用ではなくこうしたアナログの表現も、まどろっこしくもありましたが際限なく現実離れしてゆくシリーズ設定に歯止めをかける意味では良かったのかもしれません。

エピソードとしては「わたしはサイコ」や「拳のラブストーリー」「絶体絶命の愛」のようなソルブレイン型の悲劇も結構あり、シリアスで重みのあるドラマ展開であったように思います。

ぱごすけが特に好きなエピソードをふたつ。

ひとつは6話「トラック母ちゃん」息子を愛してやまない長距離トラックの女性運転手(演じるは最近バラエティで大活躍の高畑“マリバロン”淳子さん)が犯罪に巻き込まれて絶体絶命の危機に陥ります。母ちゃんのトラックにはテロリストによって爆弾が!母ちゃんを助けるために仲間のトラック野郎たちと耕作が立ち上がる!緊迫の追跡劇が繰り広げられます。

もうひとつは9話「危険な家族ごっこ」寂しいかぎっ子の家に逃げ込んだ宝石泥棒。仲間を裏切って命を狙われている泥棒を演じるは名優遠藤“貴公子ジュニア”憲一さん。家族を喪い、失意の中ですさんだ彼は、逃げ込んだ家で偶然知り合った少年と心を通わせてゆきます。ラストで、密航するはずだった外国船を静かに見る表情は胸を締めつけます。彼の演技は、既にいぶし銀のごとき輝きを放っていました!

いずれもレスキューポリスシリーズの質の高さを証明してくれる名作でした。

一方で、EXDをレスキューポリスシリーズ随一の荒唐無稽色に染め抜いた人物がふたり・・・います。

ひとりは宇宙捜査官デビット秋葉。正体は意識を持った光のカタマリで、弟の宇宙犯罪者カルロス東郷(名前も苗字も違うゾ・・・兄弟なのに)を逮捕に来たのですわ。SF的展開は数多かれど、ついにお話は外宇宙にまで吹っ飛んでしまいました。

もうひとりは大門巌。悪魔です。(演じるは、最近レポーターとして大活躍の 阿部“TSUTAYA”祐二さん) 比喩でも皮肉でもなく、悪魔です。(スゲェ。◎o◎:)ついにEXDは神と悪魔の戦いに巻き込まれてしまいます。愛ちゃんにいたっては、身に覚えが無いの期待の新人『バリアス7』にイキナリ妊娠して、おまけにお腹の子供の父親は神様だって・・・。受胎告知!まさしく現代のマリア様ですね。この手の話はかの巨匠、石ノ森章太郎センセイもサーボーグ009で挑まれましたが、結局消化不良に終わってしまいました。ある意味とんでもないテーマなのです。ラスト3作はレスキューポリスの本筋から、まるでペットボトルロケットのように勢いよく飛び出してしまいました。

ただ、もともとEXDは前2作と違ってレスキューよりもバトルに軸足をおいたエピソードが多く、後半にさしかかったあたりでトライジャケットが破壊され、新たにその名もバトルジャケットに改良されました。まさに闘うための装備です。今になって思えば、WSPから続く「倒す」前に「救う」という姿勢に、観る側も作る側もそろそろフラストレーションを覚えはじめていたのではないでしょうか?前述のとおり、あらゆる事件の背後に暗躍する宿敵組織の存在が無い分、レスキューポリスは「何でもアリ」です。ならばとんでもなく凶悪で強力な敵を出現させて思い切り死闘を繰り広げることだってできるじゃないか!そんな気持ちを抑えきれずに世に問うた作品群が現れはじめました。・・・深海用ロボット「ポセイドン」とレッダーのギリギリの超高速バトルなどはまさにそれ!とにかくSRBの高岡隆一をもっともっとパワーアップしたような、何話にもわたってEXDを苦しめる「強い宿敵」の登場を、皆が待ち焦がれていたのかもしれません。

そうして登場したカルロス東郷や大門巌・・・しかし彼らの登場は恐らく賛否両論、ファンの間でも意見の分かれるところではないでしょうか?ぱごすけにしても、最終回は頭の周りを?が何個か回っていましたね。だって、悪魔大門はデビット秋葉の協力のおかげで何とか退けましたが、地球はアルマゲドンによって人類絶滅の一歩手前にまで追い詰められてしまいます。人々は地下に逃げのびて細々と生きているようなありさまで、劇中語られてはいませんでしたが、きっと多くの犠牲者がでてしまったのではないでしょうか?まったくレスキューどころの騒ぎじゃありません。

もうひとつのサプライズは正木本部長の再登場です。シリーズをリセットしたと思い込んでいたぱごすけはブッ飛びました。番組内でも「EXDの前身、WSP、SRBの創設者の・・・」という説明口調のセリフがありましたからね。実はEXDはれっきとしたレスキューポリスの後継組織だったのです。(全国に展開するはずだったSRBはどうしたのでしょうね?)

まあ、アノ正木本部長がまた登場してくれることは無条件に嬉しかったですよ。なにせカッコイイ。何があっても動じない信念の男。その凛とした制服姿は、途方もない巨悪を前にして、わけもなく大きな安心感を私たちに与えてくれましたね。「リターン」して、特に何をするわけでもなかったけれど、我々は確実に勝利へ向かっているのだということを感じさせてくれました。

正木俊介によって生み出されたレスキューポリスは、正木俊介の登場と共に幕を下ろしました。3年間の長きに渡って命がけで人々を災厄から救い続けたヒーローの気高い精神は、その後世紀末スーパー戦隊、救急戦隊ゴーゴーファイブへと受け継がれてゆきます。あらゆる敵と戦って闘って心が疲弊した時、敵を倒す爽快感の中に一抹の癒しを求めたいと思った時、特撮ヒーローはまた「レスキューする者」を思い出すかもしれませんね。

我らの宮内“ビッグワン”洋さんがいる限り「正木リターンズ・アゲイン」はあり得ますから。

それは“来年”かもしれません。

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